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次の日の朝、理沙は怪しげな模様の包装紙に包まれた、黒板消しほどの箱を持ってきた。
「幸せの青い羽根、手に入れちゃった~」
私が、は?という前に理沙は包装紙を破った。青い不思議な光が漏れる。
そしてその全貌を現した時、私は息を呑んだ。
空の青でもなく、深淵の青ではない。
どんな青とは形容し難い、不思議な青。
絵の具でこの色を作ることは不可能だろう。
そんな小さな青色の羽根が、プラスチックの箱に入っていた。
気付けば、私の意識はその羽根に吸い寄せられていたのであった。
そして、思った。
これは紛れもない、“本物”だと。
「欲しくなっちゃったでしょ?」
いたずらっぽく笑う理沙に、私は黙って何度も頷いた。
そう思って、そう言うと理沙はどこに隠し持っていたのか、もう一つ同じような箱を取り出すと私に渡す。
「え?!」
「友達だからね」
理沙はそう言うと顔を赤らめ、予想外の出来事に硬直する私がお礼をいう前に、理沙の席に戻って行ってしまった。
「あなたは大賢人様です......」
私は魔法にかかったような硬直が解けると、先程貰った箱を目線まで掲げた。
ザ・祈りのポーズ
それと同時に先生が教室に入ってきたので、慌てて机の中に隠した。
青い羽根の効果は驚くことにすぐに出
た。
一限目は苦手な数学の授業で、しかも抜き打ちテストがあった。
難問の面子が揃い、誰もが赤点を覚悟した中で、なんと私は合格したのだ。
適当に書いた数字が奇跡的に全て当たっていた。
万年バカの私が……
ちらりと見れば、理沙も合格したようで人目憚らず大きくガッツポーズをしていた。
これだけではない、大嫌いな体育の時だけ豪雨が降り中止になったし、売店のおばちゃんが何故か飴ちゃんをくれた。
その異常なほどの効果に私は驚きを隠せないでいた。
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