第一章

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「戻らねぇなら魂を喰われるまでだお嬢さん。此処は”きさらぎ”これは忠告じゃよ」 「─────っつ」 闇に紛れて猫のような闇に光る瞳が一瞬見えた。 真っ赤な瞳。 それは老婆からの視線。 先程までの冒険心は何処へやら…。 怖くてたまらなかった。 「戻りなさい」 ビクリと肩が震えた。 たいして強い言い方でもなかったのに、その言葉は私の脳によく響いた。 「あ……ぁあ……」 恐怖で体が震える。 この時直感した。 目の前にいる人は”人間じゃない”と。 それと共に襲ってくる混乱。 何が起きてる? 此処は何処? ”きさらぎ”が何だって言うの? ポロポロと頬に涙が伝う。 「怖がらせるつもりはなかったんじゃが…」 フッと柔らかい口調が聞こえた。
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