第一章

12/32
前へ
/467ページ
次へ
「…あぁ。匂いが違うね、魅入られたのかい?それとも迷い子かね?」 「…………………えっ?」 老婆が気の毒そうにそう呟いた気がした。 ぼけてるのだろうか……。 声しかわからないが相当歳をくってるはずだった。 「悪いことは言わん。駅に戻りなさい、あそこはまだ安全だ」 駅からだいぶ歩いた気がする。 この老婆は何故私が駅から来たと知ってるのだろう。 確かにこの道は駅に通じるけど行き止まりじゃない、駅の向こう側もあるのだ。 困惑する私に気づいてか、クスリと笑いが聞こえた。
/467ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加