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怖くて恐ろしいそれに、私はひたすら耳を傾ける。
伝承するんだ。
伝承するんだ。
「知る者では確かにない、じゃがこれはわしが知るべき事だと思うのだが」
「君にそれを知る権利はないね、それとも取り引きするかね?闇との取引だ」
彼は楽しんでる。
老婆が顔を歪めるのを背後で楽しみながら、老婆の角を青白い指で優しくなぞる。
「無論、断るなんて言わないだろうね?」
くつくつと闇の男は天を扇いで高らかに笑うのだった。
「………ねぇ、あなたいつになったら私の存在に気付くのかしら?」
「なっ!!!!!???」
ガサッと音を立てたのも気付かないほどに、私はいつの間にやら隣に座っていた女性に驚いた。
「あぁ、ほら。あなたが驚くからばれちゃったじゃない」
真っ白な肌。
暗がりでもキラキラと輝く金髪の髪…………。
唄うような口調で私を咎める彼女は誰だろう?
あの男が悪魔ならば、彼女は反して天使のようだった。
女神と呼んでも恐らく不思議はないほどに、愛らしくて同時に美しい人。
「こんにちは、可愛い可愛い伝承者さん」
撤回する。
彼女から感じたのは好奇だ。
それもとても幼い子供のような狂気を踏まえて………。
背筋に冷たいモノが伝う。
此処に……異次元に正常なモノ等いるはずないのだ。
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