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「二人で楽しそうだね、狡いなぁ~そういうのは皆で楽しくするものじゃない?」
くすくすと彼女が笑う。
驚いてる私の手を無理矢理握り締めて、ガサガサと葉を押し退けて老婆達の前に姿をさらした。
最悪だ。
なに?
この状況……………。
「ようこそ、伝承者。さながら此処は宴のようだね?それとも”祭り”と呼ぶべきかな?鬼よ」
老婆に対する皮肉を述べる闇。
「何とでも呼べばよかろう!!闇、わしの問いに答えんか!!!」
「鬼さん、私が知ってるよ?」
何が可笑しいのか、彼女は人差し指を老婆の口に押し当ててにこりと笑む。
「内緒だけどね」
ふふ。と笑みをこぼして、私に向き合う彼女。
その顔は始終、歪んだピエロのように笑顔を張り付けていた。
「あなたにもこればかりは話せないなぁ。闇を知るのは産まれながらの異端者だけで構わないの、昔も…そして今もこの先も─────」
彼女は続ける。
口ずさむ唄のように。
「知る事は良いことだよ、知識は武器だもの。でも世の中には認識してはならないモノが存在するの、闇はその一つ」
「……………………」
「異端者の生きる術は闇に左右される、だから産まれながらの異端でない限り闇の物語を知ってはいけない。それが例え─────傍観者としてでさえね?」
ポロリと彼女が漏らした言葉に、私は眉をしかめた。
つまり……産まれながらの異端とやらでない限り、闇のことを知ってはならないという。
彼女の視線の先には父。
つまり異端者でなかった父は闇の物語を知ってはならないのに知ってしまったと……。
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