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淫逸之仮面
闇夜に光る玉のような肌………。
衣服をはだけさせ、艶めかしい体をくねらせ、彼女は独り踊る。
「ハァ………ハァ…………♪」
吐息を乱れさせ、体をまさぐり、今し方、トドメを刺して砂の様に消えていく悪夢を余所目に、乱れに乱れる。
「あっ♪あっ♪ああっ♪」
「葛(かずら)!聞こえているのかね!目標が動き出している!」
はだけた衣服に付いた通信器具が彼女に語りかける。
だが、彼女には今聞こえない。
彼女は今、ここではない楽園にいるのだ。ただ独りの楽園に。
「あっ!あっ!あぁーっ!!」
「葛(かずら)っ!!」
----今まさに、その頂に達すると言う刹那。彼女の意識は、別の意思に邪魔をされる。
「…………あ~………………。」
そこで、ピクリと動きは止まる。
「…………っさいわねぇ。せっかく良いところだったのに………先に逝かれて満足された気分だわ。」
彼女は機嫌を損ねる。
「いいから追いたまえよ。私とて君の行為をイチイチ邪魔するのは気が乗らん。」
「…………はぁ。あ~、ハイハイ。少しイライラする。通信少し切るわよ。」
「構わんが、任はきちんと…………」
「あーっ!!うっさい!!」
彼女は通信を無理矢理、切る。
愛機に跨がり、懐から小型望遠鏡を取り出すと、漆黒の瞳でターゲットと禁区を見据える。
「ったく…………。オンナを逝かせないで独りだけ中に決めかまして満足するような真似しやがってぇ…………!あ~イライラする!!」
機嫌を損ねる彼女だったが、小型望遠鏡でターゲットの姿を捉えると、それをジッと見つめる………。
そのターゲットが闘う姿を………
息を乱しながら汗の滴る姿を見て、怒りを忘れ、思わず愛機に自分の体を擦りつけ始める。
「………やっぱ、ちょっとイイわぁ。」
小型望遠鏡をしまい、額に掛けたお気に入りのゴーグルをかけ、愛機のエンジンをかける!
ペロリと舌舐めずりする。
「…………逝かせてくれなかった代償に、ちょ~っと味見しても」
アクセルを入れる!
お気に入りの首から掛けたマフラーがたなびく。
「いいわよねっ!!」
------………………。
--------……………。
---------………………。
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