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ふらふらと新九朗はリンゴに蹴り飛ばされながら、シルキーと共に町の外へ。
すると、以前出動した時とは別の離れた場所に、馬と荷車が駐めてあり、それには多めの武器やら何やら、それに携帯用の食料品とやらが詰まっていた。
「スゴイ荷物だけど、リンゴちゃん、禁区って遠いの?」
「………ここからは一時間。少し離れた場所にあります。特別な魔除け印があり、人も安易には入れません。介入には特別な印石を使います。」
「へぇー…………!それ、あるの?」
荷馬車に乗り込みながら、呆けた新九朗をよそに会話するリンゴとシルキー。
やがて馬が走り出し、目的地に向けて出発する。
「…………もちろん、ありますよ。」
「もしかして、作った?」
「……………まさか。譲り受けました。」
「よく隊長が渡してくれたね!」
「……………隊長ではありません。見知らぬ人です。私が、あの特殊印を調べて、禁区介入に困っていた時の事です……………」
------1ヶ月前………
木下隣国は困っていた。
ナイトメア廃滅を目標に任務に当たって印の刻印技術、戦闘技術も磨いてきた。
しかし隊長とはソリが合わず、あまつさえ隊長が遠ざけていたと言う忌むべき力まで手にして、処分が決まるまで謹慎処分となってしまったからだ。
「……………これですか。」
しかしながら、ナイトメア廃滅を生き甲斐とした彼女には例え武器を取り上げられ、活動を封じられたとしても活動を止める訳にはいかなかった。
処分は左遷だろうが死だろうが。比較的、他の区域より襲撃の少ない、わずかばかり平和な地だ。大した差はない。
今、彼女の前には大きな封印がある。無数の悪霊達が自由に飛ぶ箱庭だ。
しかし、箱庭には入場券がいるらしい。
この特殊な印は書でも見たことがない。通常の魔除け印は人間を弾かないが、この魔除け印は魔除けどころか人も除けるのだ。
「……………厄介ですね。」
「あらぁん?なぁ~にしてるの?」
そんな彼女声をかける者がいた。
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