第一章 小学生の恋人

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一般家庭の同学年は、夏休みになったりすれば、遊びに行ったりもするが、勇司は勉強の毎日だった。 勇司は子どものころ、このような家庭に生まれたことを後悔した。 親に勉強したくないと言えば、叱りの言葉が返ってくる。 小学生のころは泣きながら勉強していた。 中学生にもなれば諦め、ただ、機械のように勉強を続けた。 高校のとき、全国模試で百位以内の成績をとった事があるが、両親は一切そのことをほめず、当たり前だといわんばかりの反応しか見せなかった。 そして、大学は、両親が指定した医学部に入学することとなった。 そのころは、医者としての知識は豊富にあり、大学の講義の内容は、どれも分かりきったことばかりで、退屈でしかなかった。 周りの学生は、将来についてどのような医者になりたいとか語り合っていたりもするが、彼には、夢というものがなく、将来になんら希望を持っていない。 彼の将来は医者。 彼の両親が用意した道を通るだけの人生しかなかった。
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