第一章 小学生の恋人

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「では、前期の講義はこれで終了です。あとは単位を落とさないようテスト勉強をがんばってください」 教授がそう言った。 いつの間にか講義は終わっていたようだ。 勇司は教科書とノートなどを鞄にしまい立ち上がった。 「明日からテストだよな」 勇司の隣で講義を受けていた白井圭一が言った。 大学で知り合った友人だ。 勇司は大人しく、あまり自分から話す人間ではないが、圭一はよくしゃべる人間で、元気な人、悪く言えば落ち着きのない人間だ。 そんな対照的な二人が、友人関係を築けたのはなかなか不思議なことだが、妙に仲良くやれている。 「そうだな」 勇司はそう返事をした。 「あらら、テストのことなんて眼中にないって感じだな。さすが昨年成績一位の貫禄ってやつかな?」 圭一が言ったとおり、勇司は、昨年度、学部一位の成績を取り、表彰を受けていた。
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