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「そりゃ、大学生とか、会社員とか……大人?」
「だろ?そうだろ?おまえ、自分の格好もう一度見ろよ!おまえが大人な訳あるはず無いだろ!」
急にテンションを上げたその声は武道場中に響き渡り、なんだなんだと振り返る守護霊たちの視線が、俺たちに突き刺さる。
「もう少し声抑えろよ。うるさいな」
「なっ、自分の格好のおかしさに気付かなかったやつに言われたくねえよ!」
「おかしくねえっつってんだろ!」
「俺の美意識が信じられねえってのか!?」
「当たり前だろ!」
……とは言ったものの、軼の言うことには一理はある。
俺は低身長で百六十センチをやっと越すくらいしかなく、見た目は自分でも子供にしか見えない。
大人っぽい中に紛れた自分を想像すると、さぞおかしく奇怪な風景しか思い浮かばない……が、軼にそこまで言われる筋合いもない。
大体、今も隣で俺のスーツ姿について熱く語っているのを見てると、正論でもムカついて来るってもんだ。
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