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「なんだよ、それ」
三人一緒になって笑う姿に、周りも温かな目に取って代わる。
確かに、ちらちらと俺の頭を見たりする人はいるのだが、三人の様子を眺め、クスッと笑顔を零す。
「皆さん、クラスごとに並んでください!」
騒がしい雰囲気の中に響き渡った声は、新入生に再度緊張感を持たせ、表情を引き締めさせた。
実里ももちろん例外ではなく、奈津と喋って少しほどけた緊張も、また湧き上がってきたようだ。
右手に作った握りこぶしを胸に持っていき、目をギュッと瞑って深呼吸をする。
「そういや、奈津って何組だったんだ?」
実里は人見知りだ。
唯一喋れるのは奈津くらいで、離れたときは友達が一人もできなかった程なのだ。
高校生になって初めてのクラス替え。ここで奈津と離れるのは痛い。
「ああ。二組だったかな、確か」
「……そう、か……」
実里は三組だ。
隣のクラスとはいえ、離れたことに違いはない。
(大丈夫かな?)
慣れたら普通に話せるようになるが、それまで付き合ってくれる人などそうそういない。
「おまえのとこは?」
軼ではなく男のほうが俺に尋ね、ショックが抜けぬままにそれに返す。
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