プロローグ

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――これは、夢……なんだろうか。 特別な日に起こったキセキ。紛れもない、神からの贈り物。 「……――」 人気のない道の一角で、君と目が合う。 それは、長い間切望していたことで。 叶う可能性など、ゼロパーセント以下だったはずの出来事。 そんな奇跡が目の前で繰り広げられ、歓喜というよりはこの事実を信じられない気持ちが大きくて、でもこの奇跡を離したくなくて、手が震えた。 血の通っていない手のひらを広げ。 きょとんとした目でこちらを見ている彼女の顔を通り過ぎ、肩に触れる。 久しぶりに感じる体温と、ぬくもりのある触れ合い。 それがまた俺の涙腺を刺激し、溢れた涙は頬をつたり顎へ行き、膝に落ちた。
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