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世間一般的にいえば、それは守護霊と呼ばれている。
俺は実里が嬉しい時も、苦しい時も、辛い時も、機嫌の良い時も、彼女の表情豊かな顔を楽しみながら、一緒にいた。
だが当然、相手から視認されることなどあるはずもない。
空疎な生活。一人きりの時間の多さ。
守護霊には、それらが強いられる。
しかし、その状況を救ったのもまた実里であった。
実里は大人しめで、波乱万丈の人生があるというわけでもないが、じっと見ていると色んな些細なことに表情を動かす姿が伺える。
飽きることのないそれが、俺にとってどれほどの救いとなってくれたか。
実里には一生知る由もないことだが、俺はそのことに感謝し、この身を捧げて、最後まで見守り続けると決めたのだ。
守護霊としてではなく、自分の意思で。
どんな危険にも実里を合わせてやるものかと、意気込むのだ。
「おまえ、キモい」
そんな覚悟をせっかく改めていたところに、嫌味たっぷりに声をかけてきたのは、同じ守護霊である軼。
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