プロローグ

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世の中には、一体どのくらい五円玉が出回っているだろう。 昔から五円玉は、「ごえん」という読みが「ご縁」と結びつくことや、穴のあいた円硬貨として「円満」への連想などから、縁起を担ぐ人々の間で人気がある。 日本銀行統計によると平成26年の五円硬貨の流通量は、549億円分。つまり約110億枚の五円玉が日本中を旅しているわけだ。 ただし、近年の電子マネーの普及に押され、硬貨全般の利用率が年々減少している。昨今、五円玉は神社の御賽銭として珍重されるくらいのものだ。 しかし、ここに来て平成26年に消費税が5%から8%に引き上げられたことで、五円玉の使用頻度が高まるとの予測から、6年ぶりに鋳造が再開された。 その数、何と1億枚。 その中に一際光り輝く1枚の五円玉があった。幸運をもたらす奇跡の五円玉。それを手に入れる確率は、110億分の1。
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