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あまりお酒を飲みに行くという事をしないので言った事がある様な居酒屋でほっとする。
店内に入ると人々の喧騒と店員の景気の良い声で騒がしかった。
店員に案内されて席に座る。向かい側のテーブルには柄の悪そうな若者たちが騒がしく飲んでいた。
席に座ってそれぞれ飲物を注文する。
飲物がそろうと直哉がグラスを持って大仰に両手を広げた。
「今日は皆そろってくれてどうもありがとう。久しぶりの再会だ。積もる話も多くあるだろう。皆が知らない皆の姿もあるだろう。
それを寂しく思うかもしれない。自分の知らない友人の姿に驚くかもしれない。しかし、それは悪い事ではない。むしろ、それは成長と喜ぶべきだろう」
「話長いぞー」
「そうだよ。長いよ」
綾と亜希子が茶化すように言う。
「じゃあ、乾杯!」
宏樹がまだしゃべっている直哉を遮って乾杯の音頭をとる。
『乾杯!』
一瞬不満げな顔をした直哉もすぐに気を取り直したのか乾杯に参加してきた。
会話の内容はもっぱら近況の確認をする事から始まった。
「宏樹は今何しているんだ?」
「ん? 大学生だ」
「この近くの大学か」
「いや、近くは無いよ。あまり金がないから相変わらず実家から通ってるけど」
「綾は? 綾も大学?」
亜希子俺の質問に被せる様に聞く。突然話を振られて驚いたのかびっくりしたような顔をしている。
「そうだよ。宏樹と同じ大学」
俯き加減にグラスを傾ける。
「ふむ。大学か。勉学に励むというのは実に素晴らしい事だな」
直哉がまたしても大仰に言う。
「へぇ。意外だね。直哉は勉強なんてしなくても良いって言いそうだと思ってたよ」
「ふむ。勉学が全てだとは言わないが、勉学によって得る知識と言うのは全ての基礎になると言っても過言じゃないからな。知識は人間を作り得るよ」
しみじみと語る。何か思う所でもあるんだろうか。
「亜希子は大学生だよね」
綾が質問を返した。
「そうだよ。私は勉学よりというよりは友達と遊んでいる事の方が多いけどね」
直哉に向かって快活に笑う。
「もちろん。それも大切な事だ。初めからそう言っている」
「いやいや。適当に言ってるだろ」
宏樹が笑いながら突っ込む。俺もそれに合わせる様に笑った。
「孝介君は? 大学?」
綾が続いて俺に聞いてきた。俺は苦笑して頷く。
「そうだよ」
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