帰国、そして、

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意志も記憶もなく、ただ、『王格』だけを見て、一番いい王様になれる人が誰なのか、ていうお告げを下す能力だけを残した存在。 それに、なる為の準備がこれ。 痛い。苦しい。辛い。寒い。熱い。 五分たったのか、一時間たったのか、もしかして三日たったのかもしれない。どのくらい時間がたったのかわからないころ、じわじわと温かな何かが染み込んで来るのを感じた。 これは……アテル王国そのものの感じ……? そう思ったアタシはその、光みたいに穏やかな『何か』を受け入れる。『何か』はすんなり入ってきて、アタシを通り抜け、『水面』に収まる。 「思ってたより楽だっ……」 はい?????? なんで、アラステアさんが、ここに? 「まさか」 ウソぉ!? 頭の中が、ショックで真っ白になった。 せっかく作ったバリケードが壊されてる。 未来のアタシがやったに違いない。 琥珀色の目が、アタシを見下ろしてる。 目を開いて最初に見えたのは、アラステアさんただった。 起き上がりたくても、さっきののせいでうまくいかない。だるすぎる身体に、アラステアさんとの『繋がり 』から力が満たされていくのを感じてアタシは全身の血が引いていく気がした。
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