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失敗だ。
どうしよう。
「事情はきいた」
誰に?
そんなの決まってる。
未来のアタシに違いない。余計なことをしてくれやがって、と汚い言葉で、心のなかで毒づいた。
さっきまで、床を転げ回ってたっぽいアタシは、アラステアさんに膝枕されてた。
琥珀色の目が、べっこう飴みたいに甘そうに見える。
さいあくだ……。
「好きだ」
アラステアさんの顔は青ざめてる。
「だって」
一番さけてた、アラステアさんが国王で居られる未来を消しちゃった。
「好きだ」
「この国を反映させるためには」
視界がにじむ。喉の奥……鼻の奥がツンとした。目尻から熱いものが流れてく。
「好きだ」
「あなたの夢は、この国を繁栄させることでしょ……」
「好きだ」
「そのために努力して、」
「国を導く事は、国王の椅子にいなくてもできるんだよ。アラーナは優秀だしね。もしも私の事を少しでも想ってくれているのなら、私を選んだことを後悔しないで欲しい。
……君の側が、そこだけが私の本当に幸せな場所だ」
そんな事、言われても。
「見たでしょ?アタシ、本当はおばあちゃんなんだよ」
「関係ない。私は君が好きだ」
そんなに、優しい手で、髪を撫でないで。
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