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「うららちゃんが、アラステア様を拒む?」
何を言ってるんだろう?
どう見たって、うららはアラステア様に夢中な女の子じゃないか。
「……ええ、アラステアお兄さまは、うららさまが自分に夢中だから嬉しい、などとおっしゃっておりましたけれど、あのお二人は……わたくしの目には、お兄さまの完全な片想いに見えます」
ボールドウィン様が常々うららの意志をもっと尊重しろ、とアラステア様におっしゃっていたような気がする。
それがもしかしてこの事だったのか、と俺はやっと気がついた。
俺の目にはあの二人が両想いの仲睦まじい夫婦にみえていたけれど、ボールドウィン様やアラーナには違って見えていたらしい。
「うららさまも心配ですし、わたくしはお兄さまの事も心配です」
「アラーナはなんて優しいんだろう」
アラーナが悲しげに睫毛を震わせているので、俺はそっと抱き締める。
「たぶん、大丈夫だよ」
××××××××
……という会話をしたのが、つい昨日のことだ。
満面の笑顔を浮かべたアラステア様、苦り切った表情のボールドウィン様、何も考えて無さそうなブレンダン、驚いた顔も愛らしいアラーナ、そして、
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