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わかってくれる奴がいるってのは、気持ちがいいもんだ。
「よし。その、司一十三のタイマン、見届けに行くぞ」「ええっ?!次期会長が、わざわざ、ですか?」
「多分今、室岡が、そのタイマンを仕切ろうとしてるはずだ。しかも、お前にも俺にも、なんの連絡もない。
きっと油断させておいて、あとから鬼頭を会長に就任させる為の切り札にするつもりだったんだろう。
なかなか頭の切れる奴じゃないか。だが鬼頭を失って、室岡がどう動くのか見物だな・・・
相手の紫幽嬢のリーダーの名前は、なんてんだ?」「あの、確か中村澄子ってガキです」
「明日、会う段取りしてくれ。室岡には内緒でな。ああ、これは沖田。お前に頼む」「はい。了解致しました」
沖田は、落ち着いてはいるが、力強い言葉で引き受けた。
白川はまだ、中村澄子の代わりに黒崎爛が司一十三と闘うという事を知らない。
それにも拘わらず、何か匂うと嗅ぎつけたのは、やはり天性のカンと言うべきだろう。
車の外の景色は、だんだんと夕日に赤く染められていく。
このまま、すんなりとは会長になれそうにないな、という予感が、白川の中に澱の様に少しずつ沈下していくのだった。
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