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泉了輔警部は、朝のニュースで流れていた、十人におよぶ突発性殺人自殺の件と、
昼のニュースで流れた山王会本部の大量殺害事件を聞いて、その異常性から、殺し屋雹の関与を疑っていた。
詳細は、現場検証と鑑識結果を待つ必要があるが、まず、間違い無いだろう。
しかし、殺人課の刑事や公安が、それに気づくとは思えない。泉は丁度、富田と立ち食いそば屋にいた。
「泉さん。凄い事になりましたね。まさか、黒崎会長が死ぬなんて・・・怖い人でしたけど、なんか憎めないっていうか、
面白い人でしたよね、今から考えると」「今から考えなくても、あいつは十分変態だよ!」
「そんな事言って。泉さん、結構好きだったんでしょ?黒崎会長の事」「ハァ?莫迦ぬかせ!」
そう言って、泉は富田の頭をはたくが、それは富田の言う通りだった。
ヤクザとして、というより、男として、一本筋の通った奴だった。ちくしょう。雹の野郎。簡単に人を殺しやがって!
泉は食べ終わって使い終わった割り箸を握り締め、そのまま木製のテーブルに叩きつけた。
「富田。帰るか」「はい」先に泉が出ていく。富田も続いて出ようとして、テーブルを見て驚いた。
そして、分厚い木製のテーブルを貫通して突き刺さっている割り箸を見て、目を白黒させていたのだった。
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