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意を決して、紫幽嬢のリーダー、中村澄子は携帯から電話をかけた。相手は、美幻花のサブリーダーの今井理香である。
「ああ。もしもし。紫幽嬢の中村だけど」「ああ。なんだよ。なんか文句あんのか?」
「山王会の会長の孫娘の爛て、知ってっだろ?」「ん?・・・ああ。極神空手の女子日本一だろ?それが、どうしたよ」
「あたしのかわりに、司とタイマンやらせろってよ。しょうがねえからOKしたけど。どうする?」
「てんめえ!助っ人頼みやがったな!」
「お前、誰に向かって言ってんだよ。殺すぞ?あたしがそんなマネ、するわけねえだろ!」
「チッ、わかったよ・・・うちの総長に伝えとくから。
でもよ。爛さんでも、きっと勝てねえよ。あの山本に勝ってるんだからよ」
「あたしも、それ、昨日聞いたんだけど。ほんとかよ。その、司っての、ぜってえ何かやってるよ」
「それがさ!あたしも調べたんだよ、総長の事!そしたら、ほんとに、格闘技経験ゼロだったよ。
スリングショットはすげえらしいんだけどよ!」「スリング・・・って、何?」「お前、そんな事も知らないの?ばっかだ!」
「るっせえ!・・・早く教えろや!」「あのほら・・・パチンコって、聞いた事ねえ?ゴムで、石ころとか飛ばすやつ、
あるじゃん、子供の遊び道具でさ!駄菓子屋とかで、よく売ってんじゃんよ」
「ああっ!見た事ある!Y字型のやつだろ?・・・でも、それって、強ええのと、関係無くね?」
「うん・・・まあ、そうなんだけど。多分、天才ってやつなんじゃね?」
「天才か・・・だったら、多分、爛さんのほうが強いよ。山本は、相手が女だから油断したんだろ。
でなきゃ、あいつが女にやられるかよ!」「まあ・・・そうかもしんないけど」
「ぜってえ、そうだよ!お前、爛さんの強さ、知らねえだろ?あの人こそ、天才だよ。同じ天才だったらよ。
小さい頃からずっと体鍛えてる爛さんのほうが、強ええに決まってるだろ!」
「・・・」「じゃあな。二日後、楽しみにしてるよ」
中村澄子はそう言うだけいうと、一方的に電話を切った。中村自身、黒崎爛の事は最近まであまりよくは知らなかったのだが、
タイマン役を譲ってから、気になって色々と調べたのだ。
そして、調べるほどに、爛の化け物じみた強さを思い知ることになったのだ。
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