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「黒崎さん。あなたに心の底から仕えていた鬼頭さんでさえ、自分と、親であるあなたの罪を認めている様ですよ。
私の打ち込んだ麻薬は、人の心の中の罪悪感だけを際限なく増幅させるのですよ」
黒崎は、雹のその言葉を聞いて、何かを悟った様に日本刀を投げ捨てた。
「そうか・・・鬼頭。そうか、そうか」黒崎は、虚ろな目をした鬼頭に近づき涙を流して我が子の様に強く抱きしめた。
鬼頭の持つ銃が火を吹く。黒崎は、ゆっくりと崩れ落ちた。鬼頭は死んだ黒崎を見下ろし、銃口を自分のこめかみに当てた。
雹は目を閉じて、無表情のまま大広間を後にする。門を出た時、銃声が鳴り響いた。
そうして雹の姿が消えた後、五分くらいして、ようやくパトカーのサイレンが遠くから聞こえ始めた。
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