第1章

7/38

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「山王会の会長、若頭、他にも、山王会の主だった幹部、全員死にました。 これでもう、白川さんは、山王会会長になったも同然です」「まあ、そうなるでしょうけど・・・」 「善は急げ、と言います。すぐに臓器ビジネスを進めましょう。 ホムラ病院の東郷さんにも連絡を取って、意思の確認を図りたいのです」 「成程。わかりました。私と共に、すぐ日本へ行きましょう」 「宜しくお願いします。紹介しておきましょう。私の後ろに立っている護衛は、ただの護衛ではありません。 七竜会幹部の内の二人、白龍と雷龍です」後ろの二人が、半歩前に出て会釈をした。白川も軽く会釈をする。 どおりで迫力も器も並みじゃないと思った。中国マフィアの中でも、五本の指に入るという最強の武道家が、 目の前に三人揃っている事になる。白川は、黒金にすぐに電話をかけた。すると、また王龍にも緊急の連絡が入った。 白川のほうは、臓器ビジネスの山王会の担当が、鬼頭から白川に変わる事。七竜会の担当が、周龍から王龍に変わる事。 この二つをホムラの東郷に伝えておけ、と命じた。 そして、今からすぐに日本に帰るから、最高の料亭を会談のセッティングの場に用意しておけ、と付け加えた。 王龍の電話の相手は、平井太一だった。『周龍の身柄は預かった。返してほしけりゃ一億を今から言うスイスの口座に振り込め』 という。その後に、周龍が電話に出る。確かに周龍の声だった。 平井太一は、広東語だけでなく、英語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、全て、ネイティブに話す事ができる。 王龍は即決で、一億払おう、と答えた。平井は、口座に振り込みを確認次第、周龍を元居たマンションに帰す、と言う。 王龍は、このまま、携帯を切らずに待っていてくれ、と言って、白龍に口座番号を書いた紙を渡して、今すぐに一億を振り込め、 と言った。白龍は、自分の携帯を取り出し、どこかへ電話をかけて話をしている。 すぐに終わり、王龍に目で合図をし、軽く肯いた。王龍は、自分の携帯に待たせていた平井を呼ぶ。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加