第1章

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「たった今、入金が完了した。私と二人の護衛で、今から日本へ行く。夕方六時には、周龍のマンションへ着くから、 それまでに、身柄をマンションに戻しておいてくれ」「わかった・・・・・・よし。入金の確認が取れたよ。毎度あり!」 平井は電話を切って、周龍を見た。 「良かったな。中国は、即決なのがいいぜ。日本のお役所仕事とは大違いだ」 と、至極ご機嫌だ。 「お前、こんな事をして、ただで済むと思うなよ。お前の顔は覚えた。必ず探し出し、じっくりといたぶってやる!」 周龍の言葉も平井には耳に入らない様だ。それはそうだ。周龍はまだ知らないのだ。 王龍に『七竜会前会長李王を周龍が殺害した事がバレた』という事を。そして、山王会会長も鬼頭も死んだという事を。 かわいそうに。中国へ連れ帰られて、周龍自身がこれからどんな目に会うか、全然解っていないのだ。 中国マフィアでも、親殺しというのは、最も罪が重いという。見せしめの為に、公開拷問というものがあるらしい。 全身を身動きのとれない状態に縛り上げ、手足の指先から少しずつ、卸し金で削ってゆくという。 しかも、ショック死しない様に、強心剤を打ちながら、 輸血をしながら、なるべく長く生かす様に、細心の注意を払うのだそうだ。
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