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一年後、夏
一年後。
連邦とジオンの小競り合いは各地で勃発していた。
空中戦使用のモビルスーツが激しい戦いを繰り広げている。
ブースターパーツを装着して滞空時間を伸ばしたヒロミのGMとカイトの飛行タイプグフが激突する。
二人とも相手が誰だか認識していた。
「やるな」
「手加減はしない」
戦っているというのに二人はどこか楽しそうに笑っている。
「そうだ、いいこと考えた。オレたち撃墜されちゃったことにしようぜ」
ヒロミは満面の笑みを浮かべてカイトのグフを羽交い締めにする。
「お、おい。何を考えている。やめろ」
GMとグフはもつれ合いながら海に真っ逆さまに墜落していく。
しかし、ヒロミは墜落するポイントを巧みに計算していた。
二人の男の悲鳴と笑い声とともに二機のモビルスーツは急転直下で落ちていく。
モビルスーツは激しく海岸に激突して二人はコクピットから放り出されて、顔は砂まみれになった。
「よう、久しぶりだな」
ヒロミは悪戯っほく笑う。
「全くお前ってヤツは相変わらず」
カイトは顔の砂を払いながら憮然としている。
ここはカリン島の海岸である。
モビルスーツの墜落にびっくりして子供たちが出てくると、酔っ払いのようにがっくりとへたり込んでいる二機のモビルスーツの前で相変わらずの様子でヒロミとカイトが言い合いをしている。
その様子に子供たちは大声を出して嬉しそうに笑った。
「二度と帰ってくるなって言ったのに・・・」
マコは涙と笑顔を浮かべて二人を迎えた。
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