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「じゃあ俺達は。」
と言って歩きだした俺達を浦西が止める。
「まぁ待て。奈良ではお前の女かうちの女どちらが先に客を引くか見てみないか?」
うーん、あまり乗り気ではないが…。県外での茜やあやめの人気も見てみたいか。
俺達がベンチに腰を下ろしたと同時に、二組6人の女性陣はあっという間にもさい男どもにかこまれるのであった。
「これじゃ勝負にならんな。」
笑いながらこの光景を魚にワンカッブをあおる…。
ん?ワンカッブ?
「おい、お前それ…。」
「やっぱりワンカッブは月桂冠だな。」
「ええ。」と切り返す黒田も既にほろ酔い?
「お前もやるか?」と薦めてくる。
「いや、酒はまずいんじゃ…。って、お前はなにやってんの?」
「これなかなかいけるじゃないか。」
「…。うまい。肴に合うな。」
断ろうとした俺を尻目に、哲也と亀井は酒盛りに合流していた。
「裕もくいっといけ。これからの戦の勝利酒だ。」
「…。」
しょうがない。確かに修学旅行に来ているのに、シラフで喧嘩なんてできんわ。
俺達は必死でうちの女子達を誘う愚か者をみていた。うん、確かに酒が旨いな。
「そろそろじゃねー。」哲也の声でうちのグループを見る。
「ぐはぁ。」一人が吹き飛ぶ。吹き飛んだ隙間から、鋭い突きを繰り出した陽葵の姿が見えた。
ぐりゃり。いやな音を立てて三人が潰れる。
真っ黒な霧に覆われて三人の姿は見えない。
「ギャー!」
残り二人の断末魔。ドスンドスン。爪で刺されて動けない二人に未来の鳩尾アッパーが炸裂し、二人は吹っ飛んでいった。
「流石人に在らず。人外の猛者どもよ。」
浦西と黒田は感心していた。
「おい、お前んとこはいいのか?うちと違って、普通の女の子だろ?」
「まぁ、うちも人外のようなもんだ。」
「ぐぇ。ぐはぁ。ぐほぉ。」
まるで三下があっさりやられる効果音をそのままに、香澄と寧々の回りから男が消えた。
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