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「なんかイメージしていたのと、違うな。修学旅行。」
「私も。奈良まで来て、ストリートファイトするとはね。」
「そんなこといいながらも、結構楽しんでいたじゃない。」
「ちょっと、亜依。それ内緒。」
後ろから、優、聖子、上月亜依の三人も合流。
「聖子って、いつのまに上月さんと仲良くなったの?」
「班行動してるうちにね。」といいながら酒を飲む。
「あら?聖子っていける口?」上月さんが飲みながらきく。
「山たんフーズの利き酒係だからね。最近仕入れて好評の鈴鹿川も私のお薦めよ。」
「あれ旨いよな。うちのホテルでも評判いいんだぜ。」
既に空のワンカップを持って話す優。
「みんな酒強いな。」
既に人数×2、3個の空ビンを大作が回収している。
「ねぇ。」あやめが袖を引いてきた。
「これって物凄くヤバイんじゃない?」
「ん?何が?」
「周り周り。」
ふと周りを見渡す。
沢山の人が俺達を見ている。
「確かに…。逃げた方が…。」
「こらー、お前達、なにやってんだ。」
声の方を見る。
たぶん、ギャラリーの誰かが通報したのだろう。
当然だ。俺達の学校は市立だから制服はない。しかし、私服でもどうみても俺達は小学生だ。
その女子達が中学生をボコボコにし、ボタンを奪い、男子とベンチで酒盛りを始めたのだ。
「ちっ、チクったのはどいつた。」
激怒した浦西が怒鳴りながら立ち上がる。
あまりの勢いに野次馬達が散り散りに逃げる。
「おい、今だ。紛れて逃げるぞ。」
他校生、ましてや中学生と喧嘩し、酒盛りしたことで、補導なんてされたら…。
折角の修学旅行が一瞬で泡となる。いや、これからの学生生活に大きな障害になるだろう。
ここはなんとしても逃げ切らないと。
俺はとっさに一人の女子の手を繋いで、人混みに紛れた。
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