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「あまり気にするなよ。」
「えっ?」優しいことばに思わず彼を見る。
「きっと裕も同じ事を思ってるんじゃないかな。大事なときに茜の側にいないから。」
そうだよね。裕もきっと同じだよね。
裕があやめと一緒にいるように、私も哲也くんと一緒にいる。前世の事は全然わかんないけど、現世では私を選んでくれたんだもんね。
「いつの間にか茜って呼ぶようになったのね。」ちょっといじわる。私は夢の中で哲也くんがずっと私の事をあかねって呼んでくれてるから慣れてるけど。
哲也くんは真っ赤になって、「呼び方くらい裕と対等にしないと。」といってまっすぐ見つめてきた。
「ちょっと、それ反則。」私は真っ赤になって視線を反らす。こんな場面も夢では何回もある。けど、夢の中では、哲也くんとは夫婦らしい。だから、見つめられるくらいなんともない。
けど、現世ではさ。ダメだよぉ。
「ふっ、先ずは俺の一勝で。」
「ずるいよ。」
「じゃあゲームをしよう。期間は…、そうだな。大人になるまで。」いきなりの彼の提案。なんなんだろう?
「ルールは?」
「俺が茜の気持ちを気づかせれるか。裕が気づかしてしまうか。」
「なにそれ?ゲームにならないじゃない。」
「一応小学生No.1のボランチって呼ばれてるんだ。負け戦を勝利に導くのがボランチさ。」
「ふーん、で私が負けたら?」
「俺の隣にいてね。」
ドキッとした。哲也くんはかなりのイケメン。そんな彼からの言葉。これってプロポーズ?
「さて、どうなることやら」と言いながらカラカラ笑う彼。
本気かどうかわかんないや。でも良い機会だ。私は自分を整理してみよう。大人までまだかなりある。
「ふぅ、流石に酒が回ってきたな。」
ごろんと横になる。
そういえば私も…。
眠い目を擦りながら、哲也くんと一緒に笑い、隣に寝転ぶのであった。
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