3人が本棚に入れています
本棚に追加
――ざまあみろ、バカ野郎! それを見たキッドは、すぐさま近くのコーナーへと移動すると、トップロープに登った。直後に右手を高く振り上げて、観客へのアピールをする。
そして高く飛び上がったキッドは、素早く捻りを加えた宙返りを繰り出しながら、倒れたままの丈に、強烈なボディプレスを喰らわせた。
渾身の大技である、360度シューティングスタープレスを決めたキッドは、そのままフォールの体勢になる。すぐに駆け寄ってきたレフェリーの増田が、力一杯マットを叩いた。
しかし、カウントツーで丈にフォールを返されてしまった。舌打ち混じりで丈より先に立ち上がったキッドは、掴み起こした丈のバックを取ると、羽交い締めを仕掛けた。
――このままぶん投げて、一気に倒してやる! キッドは間髪入れずにそう気合いを込めると、身体を後ろに反りながら、必殺のドラゴンスープレックスを決めようとする。
この技は羽交い締めで腕と首を極めたまま、後ろにぶん投げるというかなりの大技だ。これを決めれば流石に丈であっても、マットに沈むだろうと、キッドは考えていた。
だが丈の重い身体が、どうしても持ち上がらなかった。直後に丈の馬鹿力で、羽交い締めを外されてしまったキッドは、顔面への強烈なナックルパートを喰らわされた。
丈の拳を顔に受けて、呻き声をあげながらよろけたキッドは、丈に荒々しく身体を掴まれたあと、勢いよくコーナーへと振られてしまう。硬いコーナーに背中を激しく打ち付けたキッドは、ぐったりともたれかかった。そこに追いうちのケンカキックが迫ってきた。
「ぐおあっ……!」
助走をつけた丈の強烈な右足を、顔面に喰らわされたキッドの視界が、ぐらぐらと揺れる。
丈は続けざまに、キッドをトップロープに担ぎ上げた。軽々とキッドの身体を持ち上げた丈が、最上段からのブレーンバスターを仕掛けてくる。
「がはあっ……!」
背中側から、全身を激しくマットに叩き付けられてしまったキッドは、蓄積したかなりのダメージにより、立ち上がることが出来ずにいた。キッドはそのまま丈にフォールをされる。
再び駆け寄ってきたレフェリーの増田が、力一杯マットを叩いた。
――クソッ……まだ負けるわけには、いかねえ! カウントスリーが入る寸前で、キッドはなんとか右肩を上げてフォールを返した。しかし、すぐに反撃出来るほどの力は残っていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!