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仕事が来なくなって2週間。
貯蓄は尽き、昨日はパンを食べて今日はまだ何も食べてない。
「こんな物……買うんじゃなかった…」
私の机に置いてある物は骨董屋で手に入れた壷や鹿の剥製が置いてある。
これさえ買わなければあと3日はまともな食事にありつけた。
お腹すいた……
「何か無いか、胃に入れば何でもいいのに……むっ!」
部屋は色々な物が散乱して汚いが、部屋の隅である物を見つけた。
買ったのは良いが、まだ一度も履いてない牛革の靴だった。
「……元々は牛だったんだ、炙れば食べられるかも」
私は燭台に蝋燭を立て、火を付けて牛革の靴を炙ってみた。
余り良い臭いではない。
牛革はもしかしたら食べられないのかも知れない、しかし食べようとした人は多分誰もいない。
つまり!食べられるかどうかは誰にも解らない、言わばシュレーディンガーの牛革!
「……いざ、いただきます」
私は喉を鳴らし、炙った革靴を口にした。
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