第1章:古の書

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砂漠に落とされた 血濡れの嬰児 母はどこぞと声を枯らすも 砂の嵐に掻き消され 何人も答える者なし 未だ開かぬその眼と共に 歩を進めば 踏み入れたのは正に地獄 蟻地獄 足を踏み入れたが最後 果てまで渦巻く欲の迷宮 七つの王達が囁いた 見えぬ眼で何を見出すか 色に溺れよ 渇望せよ 全てを怨め 出来損ない 喰らい尽くせ 言葉は無意味 耳を傾けぬ者に 粛正を 求めるのならば その欲望の侭に 我らが王の下に。 地の底を這う蛇 そこにあり  墜ちる赤子を眺めては 慈愛の口づけを 今日も今日とて逆さの玉座に鎮座する。
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