魔法少女

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「あの……」 街灯の下でカバンの中をひっくり返していたスーツの男に後ろから声をかけた。男が振り返った。 「え? あれ?」 短髪。タレ目。目元のホクロ。 「橘センパイ? どうしたんれすか。こんなところに~」 会社の後輩の林(酔っ払い)でした。 (知り合い……!) 私はコートの前を隙間なくぴっちりと合わせてから言った。 「……どうしたもこうしたも無いけど。何してるの? スマホでも無くしたの?」 林が目を丸くしてから笑った。 「ええー。なんでわかったんですか? センパイしゅごいっすねえ。ははは」 うん。聞いたからね。白猫を睨むと、白猫は涼しい顔してあくびをしていた。 「林くん。どこで無くしたの?」 「えー。どこだったかなー確か今日は会社の近くの焼き鳥屋で高校のバスケ部のグループで酒飲んでてー そしたらもう彼女から何回も電話かかってきて。友達と会うって言ったのに うわ。めんどくせーってなって、あ、違うんすよ。俺の彼女束縛凄いんですよ」 「うん。それはいいから。続きは?」 林くんが上を向いて考えながら話し出した。 「みんなと解散した後、彼女に電話かけなおしてーそしたら超怒ってて もう別れる! とか言ってくるから、もう俺もいいかと思って。 だってそんなんで長続きなんて無理だし。信用してくれないし。 それでいいよわかった別れようって――…ああ!」 「なに! 林くん、スマホどこにやったか思い出した?」 林くんが驚いた顔で言った。 「いや……俺、彼女って言ったけどもう彼女じゃなかったっす」 「あっそう!」
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