44人が本棚に入れています
本棚に追加
「コートを脱いで、決めポーズで呪文を唱えるんだよ! お尻をぷりっと突き出して『ルピルピピルン♪ ルピルンルピルン♪ アイアイアイアイ♪ チュッチュッチュー』って5回唱えるんだ。リズム悪いとやり直しだよ」
私は林の腕を掴んで背中に背負った。林が身長あんまり高くなくてよかった。
そのまま林を引きずって自分のマンションに向かった。
重い重い重い。
でも……これで自分の家で林を寝かせたら人助けにカウントされるはず。
そうしたらこの猫を遠くに捨てよう。
白猫が言った。
「やるねメグミ! またもや魔法少女の常識をくつがえしたね! 魔法を使わないなんて」
「うるさい」
――…どうにかこうにか自分の家まで林を連れ帰った。
ベッドに寝かせるのは抵抗があったので、ソファに転がした。
林を寝かせてから白猫に言った。
「ほら! 人助けしたから早く脱がせて!」
確認してもコートの中はまだ魔法少女の服のままだった。
白猫がチッチッチッと舌を鳴らした。
「メグミ。人助けは『ありがとう』って言われて初めて人助けになるんだよ。だって独りよがりの親切なんて偽善だからね」
「もういや……」
林はぐっすり眠っていて起きない。こうなったら朝一番にお礼を言わせなきゃ。
絶対に……お礼を……
最初のコメントを投稿しよう!