魔法少女

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「コートを脱いで、決めポーズで呪文を唱えるんだよ! お尻をぷりっと突き出して『ルピルピピルン♪ ルピルンルピルン♪ アイアイアイアイ♪ チュッチュッチュー』って5回唱えるんだ。リズム悪いとやり直しだよ」 私は林の腕を掴んで背中に背負った。林が身長あんまり高くなくてよかった。 そのまま林を引きずって自分のマンションに向かった。 重い重い重い。 でも……これで自分の家で林を寝かせたら人助けにカウントされるはず。 そうしたらこの猫を遠くに捨てよう。 白猫が言った。 「やるねメグミ! またもや魔法少女の常識をくつがえしたね! 魔法を使わないなんて」 「うるさい」 ――…どうにかこうにか自分の家まで林を連れ帰った。 ベッドに寝かせるのは抵抗があったので、ソファに転がした。 林を寝かせてから白猫に言った。 「ほら! 人助けしたから早く脱がせて!」 確認してもコートの中はまだ魔法少女の服のままだった。 白猫がチッチッチッと舌を鳴らした。 「メグミ。人助けは『ありがとう』って言われて初めて人助けになるんだよ。だって独りよがりの親切なんて偽善だからね」 「もういや……」 林はぐっすり眠っていて起きない。こうなったら朝一番にお礼を言わせなきゃ。 絶対に……お礼を……
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