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眩し過ぎる明るさに浅沼玲奈は瞼をゆっくりと薄く開いてみた。部屋の壁際、テレビの脇に鎮座した時計の針は午前7時を指し、土曜日としてはまだ早朝というべき時間であった。
玲奈は窓に背を向け二度寝を決意しかけたが、半開きのままであったカ―テンの隙間を狙う光線は、容赦無しに玲奈の身体を攻撃してきて、このまま眠ることを断念せざるを得ないという気持ちにさせた。
玲奈は、薄い毛布を乱暴に剥ぎ取り安物のパイプベッドから起き上がると、無地のベ―ジュ色したカ―テンを一気に開けた。
「だから、夏は嫌いなんだよ」
玲奈は、照りつける太陽を腹立たしく思うと、一人用のテ―ブルに置きっぱなしにしていたスポーツドリンクを飲み干した。昨夜から放置された液体からは既に冷たさが消え去り、喉を潤すには至らない生温さだけが身体を通り過ぎて行った。
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