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「ねえ、ママ。おもちゃ売り場に行きたい」
雄太が言いだした。ナイスタイミングだ。
「僕も。ねえ、買わなくてもいいからいいでしょ?」
大地は大人だ。真紀への頼み方を心得ている。
「いいよ。じゃあ行こうか」
「ごちそう様」「ごちそう様」
二人は行儀よく手を合わせると、ごちそう様の挨拶もそこそこに席を立った。お子様ランチの皿は、きれいに片付いていた。
また雄太はあれが欲しい、これが欲しいと言うのかな。
本格的なおもちゃじゃなくて、おもちゃ付きの箱菓子で納得するかな。
オレはぼんやりと、そんなことを考えていた。
自分の現実から遠い岸本さんのことは、すでに頭の中からは消えつつあった。
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