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「おっねーちゃぁぁぁあああん!!」
「ふぐおッ!?」
やっばい。今のは女の子が出しちゃいけない声だ。
「おねーちゃんだ! おねーちゃんのお迎えだ!」
「あのね、詩羽。喜んでくれるのは嬉しいんだけど、お腹に頭突きは止め──」
「ねえ、なんで? なんで?」
まったく。これだけ嬉しそうな顔さたら、文句も言えなくなるじゃない。
「今日は創立記念日で学校が休みだったのよ」
「そっか、そっかー。そーりつきねんびか」
「知ってる、創立記念日?」
「うん! そーりつさんの生まれた日だよね! ありがとうございます、そーりつさん!」
「あー、うん。ちょっと惜しい、かな」
「ニャーミスっやつだね!」
そうだね、ニアミスだね。
「それじゃあ、ほら、詩羽。帰るわよ」
「うん!」
えっへん、と胸をはる詩羽へ手を伸ばすと、輝く笑顔とともに、飛びつかれた。
うーん。ちょっと歩きにくいんだけど。ま、いいか。
幼稚園の先生方に挨拶を投げて、詩羽も友達に手を振って、ふたり並んで歩き出す。
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