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冷たい風を肌に感じながら黙々と歩を進める。
するとどこからともなくこちらを呼び止める声がした。
「ちょっと、そこのお二方」
声はするのに姿が見えない。
燈羅様の方を見ると、彼も何かを感じ取ったように少し進むと、小さな祠の前で立ち止まった。
私も慌てて近づくと、祠の上で
「おーい、こっちこっち。気づいてー」
とでも言わんばかりに一生懸命飛び跳ねている小さな者の姿があった。
よく見ると水干姿の少女の姿をした小さなソレは、気づいてもらえたのが嬉しかったようで両手を広げて飛び跳ねている。
「主らはどこぞの神々であらせられるか?」
神であっても多くが恐れる、神殺しの力を持つ燈羅の鋭い眼差しに怯むことなく、ソレは少し恥ずかしそうにこちらを見上げている。
「いかにもこちらのお方は尊き神であらせられる。……って、ちょっ、燈羅様??」
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