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「唯羽ちゃんは?」
「…え?」
「どうして泣いてたの?」
蒼くんがいつの間にか普通の顔に戻ってた。
さっきの泣きそうな声は…?
「あ、あたしの家はママもパパも海外ってところで離れて仕事してるの。今日も帰っちゃった。あたしもいつも寂しい。だから、泣いちゃったんだ。あー…だめだよね。弟もいるのにお姉ちゃんが泣いちゃった。」
そんなこと言ってるとまた涙が出てきた。
蒼くんがパタパタと走っていってしまった。
そうだよね。
こんなに泣いてる子めんどくさいよね。
「唯羽ちゃん!」
帰ったと思った頃、蒼くんの声がした。
あたしの目の前に来てぱっと手を開いて何かを出した。
「これ…。」
「そう、見てて!」
あたしから少しだけ離れてパッと蒼くんの頭の上に手を持っていき手をいっぱい開いて弾けさせた。
蒼くんの周りに桜の花びらが舞っていた。
夕日の光に紛れて桜がひらひらと舞っている。
「綺麗でしょ!」
蒼くんが満面の笑顔であたしにそう言ってくれた。
泣いていたあたしはそんな蒼くんの笑顔と大好きな桜の花びらのおかげで泣きやんだ。
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