お届け物です

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――ガチャ まだしなければいけないことは残っているけれど、無性に顔を見たくなって、ゆっくりと寝室の扉を開けた。 扉の隙間から漏れた光でぼんやりと照らされて眩しかったのか、彼女は顔を顰めて寝返ってしまった。 「これからもずっとよろしくな……琴美」 彼女を起こしてしまわないように、小さな声で呟いてそっと扉を閉める。 さて、続きでもしようか。 今日1日作業を続けてきた机へと戻り、腰を降ろすと大事な仕事が待ち構えていた。 「えっと……皆様、本日はおいそがしい中、私たちの披露宴に……」 気持ちに迷いがなくなった途端に、筆はスラスラと進んでいく。 明日……日付的には今日の結婚式が楽しみになってきた。
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