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……辛い、寂しい、不安
今までいつも一緒だったのに離れてしまう
けど、応援しなきゃ
我儘なんて言わないようにしなきゃ
私はここであと一年頑張る
そして、有史君と同じ大学に行く
堂々と隣に立てるように
がんばれ、あたし
がんばれ、がんばれ、がんばれ
***
思い出した。あれは、あの日の琴美だ。
俺が大学進学にあわせて引っ越した日、琴美が笑顔で送り出してくれた日。
琴美が背中を押してくれたから離れた間も頑張れたんだ。あの笑顔の裏で、琴美は我慢して泣いていたのか。
そういえばいつもそうだ。俺の事を一番に考えて、いつも傍にいれくれた。徐々に琴美と過ごした日々が脳裏に過る。
大好きな琴美の笑顔を俺は心から守りたい、そう思っていたんだ。
涙を流し続けている琴美を抱きしめたくなって、駆け寄ろうと立ち上がった瞬間激しい眩暈に襲われた。
「……琴美…」
必死に出した声は掠れていて、ほとんど音になっていなかった。もちろん琴美には届かない。
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