お届け物です

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「……琴美!……って、あれ?」 やっと声が出たと思ったら、琴美の部屋に居たはずなのに、見慣れた自分の家にいた。 さっきのは……夢? 椅子に座って、机に突っ伏して眠ってしまっていた。 目の前には真っ白のままの紙が一枚のったままだった。筆が進まずにそのまま眠ってしまったのか。 こんなことをしていたからだろうか昔の夢を見たのは。 琴美の夢。彼女だった人の夢。妻になってくれた人の夢。今も昔も一番大切な人の夢。 ガタっと椅子を引き、一度立ち上がった。なんとなく、夢にみたノートの存在が気になって。 ノートが入っていた本棚を確認すると一番端に大学ノートが数冊並んでいた。一番手前はまだ新しいもので夢に出てきたのもこんなやつだった気がする。 「日記?」 表紙に書かれていた文字は【Diary Note No.5】。もしかしたらこのノートたちのどこかにさっきの琴美がいるのかもしれない。 探すのは……やめておこう。もしかしたら夢じゃなくて、この日記の中に俺が入ったのかもしれないし、ただの夢かもしれない。 でも、そんなのはどっちでもいい。彼女に対する気持ちを再確認することが出来たから。それだけで充分だ。
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