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仕事とプライベートを混同するつもりはないが、貴浩兄さんの真意が掴めないから、とりあえず要注意人物としてマークしておく必要がある。
それにしても、蘭さんときたら……。
俺が"Many cakes"よりも美味いケーキと言ったのは、蘭さんが作ってくれたパウンドケーキなのに。
まあ、今の段階で気付くわけないけど。
兄さんが余計なこと言ったせいで、元カノからもらったケーキだろうと勝手に勘違いしてるらしい。
無表情を装っていたらしいが、嫉妬の感情を僅かに滲ませていたのを俺は見逃さなかった。
いつの間にか彼女の微妙な表情の変化に気づくようになってしまっている。
俺、完全に持っていかれてるな……。
彼女のジェラシーを解消してやるにはこうするしかないと思い
『また、作ってくれよ』
と、催促してみた。
『その勝負受けて立ちます!』
なんて、まさか自分との勝負だとは夢にも思っていないだろう…。
そして、こんな展開は流石の俺も想定外………。
蘭さんの家に、招待されてしまったのだった。
ある意味、俺にとっても勝負だな。
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