第1章

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 ムラサトは、姉が死んだのは自分の呪いのせいだと思っていたのだろう。原因は自分にあって、誰かが姉を刺したのは結果にすぎないと。犯人は放たれた矢に過ぎず、それを放ったのは自分だというわけだ。だから、鏡が赤く染まった。  結局、犯人はアイリだった。姉と口論になり、アイリは包丁を持ち出した。ただ脅そうとしただけで刺すつもりはなかったらしい。だが、抵抗した姉ともみ合ううちに、包丁が姉に刺さってしまったそうだ。 おそらく、「お前が殺したのか」とアイリを問い詰めても鏡は反応しないだろう。彼女にとって、この事件は「ただの事故」だったのだから。  すまなかったのはムラサトだ。僕は呪いなんて信じていない。姉の死が原因が呪いのはずはない。完全に僕の勘違いだった。 『こういった宝物を使いこなせないで酷い目にあう昔話は結構多い』。  僕は、アイリと同じ人殺しになってしまった。危険な鏡は壊した。 あとは、自分で自分を裁くだけだ。警察には、なるべく本当ことを言うつもりだ。でも、鏡が無い今、本当の事を言った所で、どうせ信じてもらえないだろう。だからここに真実を書き記したというわけだ。それではさよなら。
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