19人が本棚に入れています
本棚に追加
救護室は、プリズナーの三階部分にあった。
どうやら一階と二階は牢屋、三階はそれ以外にわけられているようだ。
何とかリビドーの視界をくぐり抜け、今は救護室で一息ついている。
サヤは何とか治療できた。
俺が将来は医者になると言っていた頃、学んだ知識がここで役にたつとは。
今ではもう、そんな過去も思い出したくない。
ヒロは眠るサヤの周りを、グルグルと回り続けている。
そういえばヒロと初めて会った時、俺を人間かどうか聞いてきたな。
物珍しいのはわかるが、そこまで珍しいものか?
「ヒロ」
「なに?」
「そんなに珍しいか?」
「当たり前じゃん」
即答された上に、断言までされた。
不思議な雰囲気のある子だなとは思ったが、何だか不気味でもある。
まるでヒロが、人間とは違う何かのような気がして。
「お兄ちゃん」
「お兄ちゃんって呼ぶな。俺のことはカイトでいい」
「じゃあ……カイト。何でカイトが処刑に選ばれたのか知ってる?」
処刑に選ばれた理由。
それは俺も、恐らくサヤも知らない。
突然連れてこられて処刑って、冗談じゃねぇ。
「それをヒロは知ってるのか?」
「知らない」
じゃあ何で聞いたんだよ。
最初のコメントを投稿しよう!