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「ボクが知ってるのは、10代から20代の男女が処刑対処って事」
「何でそんな事を知ってる?」
「隣の部屋、研究室になってていろんな本が置いてある。気になったら見てきなよ。女の人はボクが見てるから」
ヒロがそうぶっきらぼうに言って、椅子をサヤの前に置いて座り出す。
俺は少し迷ったが、脱出方法がわかるかもしれないと思い隣の部屋に向かった。
研究室は白を基調に、今までに比べたら少し明るい部屋になっている。
明るすぎる事に違和感を覚えたが、もっと違和感を覚えたのは研究用の器材だ。
あまりにも綺麗な上に、まだ使っている様子があるからだ。
まるでついさっきまで、誰かがここで研究をしていたかのような……。
俺は物音に気をつけながら、部屋の奥にある積み上げられた本の所まで向かった。
20冊くらいあるな。
全部調べるには、あまりにも時間が無いぞ。
少し考えて、一冊手に取ろうとした。
……カシャン!!
その物音に、思わず肩を震わせる。
物を落としたかの様なその音は、背後から聞こえた。
誰かがこの部屋に入ってきた!?
俺は先手をとられる前にと慌てて振り返るが、そこにいたのは腰を抜かした小太りの男だった。
いや、俺はこの男を知っている。
「ユウヘイ……?」
「あっ、やっぱりカイト君なんだね」
そいつは俺のクラスメイトの、ユウヘイだった。
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