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次に目を覚ますと、何処かのベッドの上にいた。
赤黒い天井に、錆びたベッド。
そして隣には、見知らぬ少年がいた。
「誰……?」
「あ、お姉さん気がついたんだ。カイトが心配してたよ」
カイト?
この子、カイトを知ってる?
周りにはカイトの姿は無いから、嘘の可能性もあるけど。
嘘ついてどんなメリットがあるかわからないから、低い可能性だと思う。
「僕、カイトはどこ?」
「僕じゃない、ちゃんとヒロって名前がある」
ヒロと言った彼は、少しムッとしている。
名前で呼んでもらえないと、怒っちゃう子なのかな。
それにフードをかぶって良く見えないけど、顔立ちは女の子のようだった。
男の子か女の子かよくわからないけど、ヒロって言うんだね。
「ヒロ、そのカイトは何処に?」
「この部屋の隣にある研究室。この場所について、調べに行ったよ」
頭に痛みが走る。
ズキリと重い痛みが、断続的に襲いかかってきた。
何で私、忘れてたの?
記憶の断片がフラッシュバックするたびに思い出す。
巨大な怪物が振り回す包丁、血に塗れた監獄、何処かへ連れて行かれる私。
そうだ、ここにいたら殺される……!!
調べ物してる場合じゃないよ、カイト!!
私は弾かれたかのようにベッドから飛び起き、ヒロを置いて走っていた。
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