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居座っても動いても殺されるなら、いっそ動いた方が気は楽だ。
私はぷーへいに力強く頷き、扉から出ようとしたら。
目の前にあった扉は、一瞬にして真っ二つになる。
何があったのか、理解できなかった。
ただわかったのは、目の前にいたのがあの大きな化け物という事だけ。
その化け物が今切りかからんと、手に持つ大きな刃物を振り上げた。
「サヤさんっ!!」
何だか、ぷーへいの声が遠く聞こえる。
気のせいかな?
周りがゆっくり動いてる気もして。
私、死ぬのかな……?
「危ないっ!!」
その声が聞こえた時、私はまた部屋の中に押し戻された。
バランスを崩し、私とその声の人は同時に倒れる。
男の人……?
でもぷーへいでも、カイトでも無い。
スーツを着た、大人の人だった。
優しい目で見つめられ、思わずドキッとする。
「大丈夫?立てる?」
「は、はい!」
「ここは危ない……。安全な場所知ってるから、ついてきて!」
彼は私とぷーへいを引っ張って、化け物の間をすり抜けて走り出す。
化け物は雄叫びをあげているが、その頃には私の視界から化け物は消えていた。
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