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そうだ、思い出した。
公園で何者かに襲われて、気付いたらこの場所だ。
しかも彼女……サヤも連れてこられてる。
ダメだ、サヤを助けないと。
さっき見た感じだと、彼女は怪我してる。
だけど俺自身も、縛られていて動けない。
ジャラリと動く度に鳴る鎖の音が、余計に焦りを感じる。
頭をフル回転させて考えた。
この状況を打破する方法は、無いのだろうか。
だが、鎖も鉄格子もどうすればいいかわからない。
おまけに頭痛が酷くなってきた。
「アンタ、人間だよね?」
声がした。
鉄格子の外に、誰かいる。
小学生くらいの女の子が、カンテラを持って立っていたのだ。
子供?
何でこんな所に子供がいるんだ?
俺が黙って悩んでいると、少女は苛立ったのかさっきより声を大きくしてまた問いかけてきた。
「ねぇ?人間かどうか聞いてるんだけど?」
訳がわからないが、俺はとりあえず頷く。
最近の子供は、かなり口が悪いのか?
少女に似つかわしくない言葉使いに、俺は思わず首を傾げる。
だが少女は子供らしく、おどけた笑顔で俺を見た。
「良かった!ここ、人間がいないからボク1人かと思っちゃった!」
少女は、自身をボクと言った。
僕っ子なんだろうかとしょうもない考えをしながらも、逆に俺が問いかける。
「ここは、何処なんだ?」
「あれ、囚人なのに知らないんだ」
「囚人……?俺、捕まったのか?」
「捕まったっていうのは、ちょっと違うかな」
次の瞬間俺は、あり得ない言葉を聞く事になる。
「ここは裁きの監獄『プリズナー』。お兄さんは、処刑される為に連れてこられたんだよ」
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