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俺は思わず、声を失った。
裁きの監獄!?
処刑される為に連れてこられたって!?
じゃあ尚更早くここを出て、サヤを助けに行かないと!!
「君、ここの出方知ってる?」
「うーん……知ってるけど、ボクを置いて行ったりしない?」
「大丈夫だ、約束する」
少女は俺の言葉に少し考え、その後に満面の笑みで「いいよ」と言ってくれた。
俺はホッと一安心した所で少女は、ズボンのポケットから沢山の鍵が付いた鍵束を取り出す。
「このプリズナーにいるのは、処刑人のリビドーだけ。お兄さんも見たんでしょ?あの大きな化け物」
手足の錠を外してもらいながら、少女はこのプリズナーの話を始めた。
リビドー、か。
あの布を被った大男の事だろうな。
鮮血を被って染まった布を思い出す度、俺を震えあがらせる。
「君はどうやって……」
「ヒロ……」
「えっ?」
「ボクの名前はヒロ。ちゃんと名前あるよ」
あぁ、名乗ったのか。
君と言われたのが、気に食わなかったんだろう。
「俺はカイト。助けてくれてありがとう」
お礼を言い終わると同時に、俺は自由を取り戻した。
ガチャンと錠は外れ、鎖を解いてもらう。
それにしてもこの子、ヒロと言ったか。
小学生のくせに、こういう物に手馴れてる感じがする。
普通の小学生ならこんな場所、泣いて喚きそうなのに。
いや、それ以前にヒロが小学生という考えが間違ってる可能性があるか。
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