19人が本棚に入れています
本棚に追加
プリズナーの内部は、かなり入り組んでいた。
同じ様な鉄格子の部屋が沢山あり、似た階段や廊下も同じく沢山ある。
ヒロの話ではプリズナーは、3階建ての小さな建物だという。
小さい為か似たり寄ったりの部屋を、無理矢理入れ込んだような構造になってしまったんだろう。
「裁きの監獄って、誰が造ったんだろうな」
俺は無意識に、そんな言葉を口走っていた。
それをヒロは聞いたのか、やけに流暢に話し始める。
「裁きの監獄は、日本の無人島に建てられたんだ。一応島全体が監獄島って言われてるけど、処刑が許されてるのはこのプリズナー内部だけ」
「……やけに知ってるんだな」
その言葉が気に障ったのか、ヒロは少し俯いてしまった。
カンテラに照らされず見えにくいが、少し肩を震わせて泣いているようだ。
言ってから後悔するって最悪だな、俺は。
「プリズナーを造ったのも、リビドーを作ったのも、ボクのお父さんなんだ」
「お父さんが?」
やっぱり聞いちゃいけない事を聞いてしまってたんだな。
「ごめん、無理して言わなくてもいいよ」
俺が謝ると、ヒロは首を横に振って否定した。
この様子だと、両親共に殺されたんだろう。
あの処刑人、リビドーに。
最初のコメントを投稿しよう!